TOEICや英検のスコアをうまく活用するには、相互の換算方法を理解する必要があります。この記事では、TOEFLとTOEICの違いや、スコアをどのように換算するのかを紹介し、活用方法を解説します。
記事を読むと、TOEFLとTOEICのスコアを換算できるようになり、英語力を証明する際の役立つ情報が得られるでしょう。簡単なガイドラインに従えば、自分の英語力を違う形で示すことが可能です。
TOEFLとTOEICのスコア換算
TOEFLとTOEICは異なる評価基準を持つテストであり、直接的な比較は困難です。両者のスコアを推定する際には換算表が用いられます。
ただし、ETS(Educational Testing Service)以外の機関が提供する換算表は、あくまでも推定値であり、目安として利用するのが良いでしょう。テスト形式の違いによる精度の問題がある点にも、注意が必要です。
TOEFLやTOEIC以外の英語テストとの換算も、同様の方法で推定されることがあります。換算表を活用すると、異なるテストのスコアを相互理解しやすくなります。
» TOEICとは?
TOEICとTOEFLの違い
TOEICとTOEFLの主な違いを以下にまとめます。TOEICは国内での就職に有利な試験で、TOEFLは留学に有利な試験と言えます。
特徴 | TOEIC L&R | TOEFL iBT |
試験の目的 | 職場での英語能力測定 | アカデミックな英語力測定 |
試験の形式 | リスニング、リーディングのみ | リーディング、リスニング、スピーキング、ライティング |
試験時間 | 約2時間 | 約2時間 |
配点 | 10~990点 | 0~120点 |
使用英語 | アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ | アメリカ、イギリス、オーストラリアなど多様な英語 |
主な受験目的 | 就職や昇進のため | 大学入学、奨学金の申請、留学 |
問題数 | リスニング100問、リーディング100問 | リーディング20問、リスニング28問、スピーキング4問、ライティング2問 |
難易度 | 初級から中級向け | 中級から上級向け |
試験の頻度 | 毎月1~2回開催 | 毎月5回以上開催 |
試験会場 | 日本や他国の指定会場 | テストセンターまたは自宅(オンライン受験可能) |
解答形式 | マークシート方式 | コンピュータ上での選択式・記述(タイピング)式・口述式 |
受験費用 | 7810円 | US$245 (US$1=150円の場合、36750円) |
スコア換算の必要性
スコア換算の必要性は高いです。特に次のような場面や目的で、スコア換算が役に立ちます。
- 受験環境(オンラインやペーパーテスト)の制約による柔軟性の確保
- 各試験が測定する能力の違いに対する理解を深める目的
- 異なる試験形式間での英語能力レベルを比較する目的
- 学校や企業が特定のスコアを要求する場合の対応
- 自己の英語能力を多角的に評価するための参考データとして使用
- 留学や就職など特定の目的に応じたスコア目標を設定する際の指標として利用
- 英語の学習進捗と目標達成度を測定するための基準として活用
TOEFLには自宅(オンライン)で受験できる便利なオプションがあります。一方、TOEIC公式テストは会場での受験となります。直接会場に行くことができない場合には、スコア換算表を活用して英語力を比較することができます。
公式の換算ガイドライン
TOEFLとTOEICを主催する団体が提供する公式の換算ガイドラインは、信頼性が高いです。公式換算ガイドラインには、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)と呼ばれる国際標準が適用されています。
CEFRは、受験者の英語力を5段階で評価します。ETSでは、TOEICとTOEFLのスコアがCEFRのどのレベルか明記されており、それぞれのテストの特性や受験者の多様な能力レベルを考慮し、受験者のスコアを公平に比較可能としています。公式換算ガイドラインを活用することで、異なるテスト間のスコアを相互に理解しやすくなります。
≫【参考】TOEICとCEFRの比較
≫【参考】TOEFLとCEFRの比較
TOEFLとTOEICのスコア換算表
TOEFL iBTスコア | TOEIC リスニング&リーディングスコア |
42〜71 | 550〜780 |
72〜94 | 785〜940 |
95〜120 | 945〜990 |
TOEFLとTOEICのスコアを比較することは、英語レベルの目安を得る上で役立ちます。
ただし、換算は正確なものではなく、あくまで目安です。換算表を活用する際には、それぞれのテストで評価されるスキルの違いや、試験形式の差異を考慮する必要があります。
» TOEICスコアの目安
TOEFLスコアをTOEICスコアに換算する方法
ここでは、TOEFLスコアをTOEICスコアに換算する方法を解説します。
換算のポイント
TOEFLとTOEICのスコアを換算する際には、以下のポイントを押さえましょう。
- 公式の換算ガイドライン(CEFR)を参照する
- リーディングとリスニングのスコアを中心に比較する
- バンドスコアやセクション毎の得点を考慮する
- 換算表は目安として利用する
- 最新の情報を確認する
最も大切なのは、公式の換算ガイドライン(CEFR)を参照することです。ETS(Educational Testing Service)が提供する換算ツールやガイドを参照すると、両テストのスコアを適切に比較できます。
換算する際には、各スキルセクション(文法、リーディング、リスニング、スピーキング)を注意深く見極める必要があります。特に、リーディングとリスニングのスコアは、換算において中心的な役割を担うので、細心の注意を払うべきです。
ただし、全てのスコアが直接換算できるわけでははありません。TOEFLとTOEICは異なる試験であるため、参考値として利用しましょう。個人の英語力を過信しないように、注意が必要です。
バンドスコアやセクション毎の得点も考慮に入れることで、換算の正確性が高まります。複数の換算表が存在する場合には、最新の情報を確認してください。
TOEFLからTOEICへのスコア換算例
TOEFLスコアとTOEICスコアの換算例は、以下の通りです。TOEFLのiBTスコアとTOEICのリスニング&リーディングスコアで換算を行います。
TOEFL iBTスコア | TOEIC リスニング&リーディングスコア |
42〜71 | 550〜780 |
72〜94 | 785〜940 |
95〜120 | 945〜990 |
TOEFLスコアが42〜71の場合、TOEICでは約550〜780点相当です。TOEFLスコアが72〜94の場合は、TOEICスコアでは785〜940点の範囲に相当するとされています。
換算例を参考にすることで、受けたテストのスコアが別のテストでどの程度の評価になるかを把握できます。
TOEICスコアをTOEFLスコアに換算する方法
ここでは、TOEICスコアをTOEFLスコアに換算する方法を解説します。
換算のポイント
TOEICスコアをTOEFLスコアに換算するポイントは、TOEFLスコアをTOEICスコアに換算する場合と同様です。
- 公式の換算ガイドライン(CEFR)を参照する
- リーディングとリスニングのスコアを中心に比較する
- バンドスコアやセクション毎の得点を考慮する
- 換算表は目安として利用する
- 最新の情報を確認する
TOEICからTOEFLへのスコア換算例
換算例は以下の通りです。
TOEIC リスニング&リーディングスコア | TOEFL iBTスコア |
550〜780 | 42〜71 |
785〜940 | 72〜94 |
945〜990 | 95〜120 |
スコア換算表は、異なる英語テスト間の能力レベルを比較するための目安として活用してください。
TOEIC経験者がTOEFLを初受験した場合、スコア換算表よりも低めのスコアを取る傾向にあることが報告されています。
≫【株式会社アゴス・ジャパン調べ】TOEICとTOEFL iBTのスコア比較
換算スコアの活用方法
換算スコアは、さまざまな場面で活用できます。特に役立つのは次のようなシーンです。
- 就職・転職時
- 留学申請時
- 英語力の自己評価時
就職・転職時
就職や転職活動には、英語能力が重要視されます。企業によっては、特定の英語テストスコアを応募資格に設定しているケースもあるでしょう。特定のスコアを求められるときに役立つのが、TOEFLとTOEICのスコア換算です。異なる英語試験のスコアでも、企業や業界が求める能力の目安に合わせて提示できます。
例えば、TOEFLスコアを持つ転職者がTOEICスコアを求める企業に応募した際、換算スコアを使って自己PRが可能です。採用側が異なるテスト形式のスコアを理解しやすいように、一般的な形式に換算して提出することが推奨されています。
換算スコアを活用することで、自身の英語能力を伝えられ、転職活動を有利に進められます。
留学申請時
留学申請の際には、英語力の基準を満たすことが重要です。大学やプログラムでは一般的に、TOEFLスコアで英語力が評価されます。TOEICスコアしかない場合は、TOEFLスコアへの換算が必要です。
留学申請書類の準備にあたって換算スコアを用いると、正しく自分の英語力を伝えられます。留学ビザ申請時に必要な英語スコアの証明にもなります。
換算されたスコアは、奨学金や支援プログラムの応募時にも便利です。英語力を示す判断材料として、重視されるケースがあります。
スコア換算は、留学に向けた英語力向上の目標設定と、進捗評価の観点からも大切です。スコアを換算し、自分の英語レベルを把握することで、留学先での生活や学習をスムーズにスタートできます。
英語力の自己評価時
換算スコアは、英語力の自己評価をする際にも有効なツールです。異なるテスト間でのスコア換算を行うと、自分の英語力を相対的に把握できます。
目標とするスコアを設定する際にも参考になります。自分の英語力の進歩を測るためには、一定期間ごとのテストのスコアを比較することが有効です。
換算スコアは、自身の英語の強みや弱点を分析する際の参考データとしても利用できます。職場での昇進や、海外勤務を希望する際の基準としても重宝されるでしょう。
TOEFLとTOEICの換算に関するよくある疑問
ここでは、TOEFLとTOEICの換算に関するよくある疑問を紹介します。
換算スコアは正確か?
換算スコアはあくまで目安であり、完全に正確とは限りません。TOEFLとTOEICは、異なるフォーマットと評価基準を有しているからです。TOEFLはアカデミックな英語使用能力を、TOEICはビジネスシーンでのコミュニケーション能力を測定します。同一の得点が、等しい英語力を意味するわけではありません。
換算スコアが、個々の言語スキルの強みや弱みを完全に反映するのは困難です。英語の使用環境や目的によっては、換算スコアよりも実際のテストスコアが重視されるケースもあります。
スコア換算表は、各テスト機構が提供する公式のものを使用するのが望ましいです。ただし、公式のものであっても誤差が生じる可能性がある点に注意してください。
他の英語能力テストとの換算は?
TOEFLやTOEIC以外でも換算できる英語能力テストがあります。換算できるスコアは、以下の通りです。
- IELTSスコア
- CEFRレベル
- Cambridge English Qualifications(ケンブリッジ英語資格)スコア
- PTE Academic(ピアソンの英語テスト)スコア
- 英検(実用英語技能検定)スコア
IELTSのスコアは、TOEFLやTOEICとの間で換算が可能です。CEFRレベルはTOEFL、TOEIC、IELTSスコアと相互に換算するための基準を提供しています。
Cambridge English Qualifications(ケンブリッジ英語資格)やPTE Academic(ピアソンの英語テスト)のスコアも、TOEFLやTOEICのスコアに換算できます。日本でよく知られている英検(実用英語技能検定)のスコアも換算可能です。
一般的に換算表は、公式機関や教育機関から提供されており、近似的なスコア換算が実現します。各テストの性質や評価方法の違いを考慮しながら活用しましょう。
換算表を活用するメリットは?
換算表を活用するメリットは、以下の6つです。
- 異なる英語試験間での相対的な能力を理解できる
- 必要なスコアを換算して目標設定ができる
- 英語力の向上を定量的に追跡し、自己評価に役立てられる
- 試験ごとの勉強の方向性を定める際の参考になる
- 自己の資格を適切にアピールできる
- 特定の目的に合ったテスト選択の判断材料になる
換算表を活用すると、異なる英語試験間でのスコア比較が可能です。自分の英語能力を正確に把握できるようになります。
留学や就職において、異なる試験のスコアが必要な場合も、換算表を使って目標スコアを設定できます。効率的な学習計画を立てることにも繋がるでしょう。
自己の英語力の向上を定量的に追跡し、進捗を自己評価する際に役立つのもメリットです。定期的にテストを受けてスコアを換算することで、具体的な進歩を実感できます。試験ごとの勉強の方向性を定める際にも、換算表は重要な参考資料です。
多くの機関や企業が特定のテストスコアを基準にしているため、換算表を用いることで、自己の資格を適切にアピールできます。異なるスコア基準を採用している場所への応募でも、自身の英語能力を適正に伝えることが可能です。換算表は、英語学習者にとって非常に有益なツールであると言えるでしょう。
まとめ
TOEFLとTOEICのスコア換算は、異なるテスト結果を比較し相互理解を深めるために重要です。TOEFLとTOEICのスコア換算では、リーディングとリスニングのスコアを中心に考慮する必要があります。公式の換算ガイドラインを参考にしてください。
換算スコアは就職や転職、留学の申請、自己評価において有用であり、英語能力のおおよその目安を得るのに役立ちます。完全な正確性は保証されませんが、目安としては十分に活用できるでしょう。複数の英語テストを比較し、目標設定に利用するのもひとつの方法です。
» TOEICとは?